実を言うと、牛肉麺の方が好き——春水堂で私がタピオカ以外に毎回頼む 4 品
前回のノート で、「春水堂はタピオカミルクティーの店じゃない、本当はお茶と食事を楽しむ茶館だ」と書きました。読んでくれた方から「じゃあ何を頼めばいいの?」という質問をいくつかもらったので、今回はその続編です。
正直に書くと——私が春水堂に行く時、タピオカミルクティーを頼まない日のほうが多いんです。代わりに毎回頼んでいる 4 品があって、これがあるから私は春水堂に通い続けているとも言えます。
順番に紹介します。
1. 牛肉麺——個人的には、鼎泰豊より好き
最初に告白しておきます。私は春水堂の牛肉麺が、鼎泰豊の牛肉麺より好きです。
これは「客観的にどちらが上」という話じゃありません。両者は方向性が違うんです。
鼎泰豊の牛肉麺は、上品でクリア。スープが澄んでいて、肉のクオリティもエレガント。きちんとした料理として完成されています。
春水堂の牛肉麺——正式メニュー名は「御品牛肉麺」——は、もっと家庭的で、もっと素朴。牛腱肉(牛のすね肉)が大ぶりに 5 切れほど入って、しっかり煮込まれて柔らかく、噛むと中から肉の旨味が出てくる。スープは少しスパイシーで(微辛、辛さの調整は不可)、酸菜(高菜のような漬物)が添えられていて、後半に少しずつ加えて味を変えていく。
つまり、「ちゃんとした食事として満足感がある牛肉麺」が食べたい時、私は鼎泰豊じゃなくて春水堂に行きます。
これは私だけの意見じゃありません。台湾の食記ブログ界では「春水堂の都市伝説」という言い方があって、「実はタピオカや功夫麺より、牛肉麺の方がうまい」というのは知る人ぞ知る評価。日本の旅行情報ではほとんど触れられないので、今回はっきり書いておきます。
注意点:辛さ調整ができないので、辛いものが苦手な方は事前に店員さんに相談してください。
2. 功夫麺——春水堂の招牌、辣醬がすべて
牛肉麺の話で長くなりましたが、春水堂の食事メニューで一番よく注文されているのは「功夫麺」のほうです。
公式の説明では「靈魂在於特調的肉燥」——魂は特製の肉そぼろにある——と書かれていますが、実際に何度か食べた結論を言うと、魂は付属の辣醬(ラージャン、自家製の辛味噌)にあります。
頼み方のコツ:
- 必ず「辣醬を 2 つ追加でください」と伝える。デフォルトでは少なすぎる
- 「滷蛋(醤油煮卵)」を追加。台湾人の感覚では功夫麺+滷蛋がセット
- 麺は細めで、ちょっとだけアルデンテ寄り
肉そぼろと辣醬と滷蛋を麺に絡めて、しっかり混ぜてから一口目。これが春水堂の招牌たる所以です。タピオカミルクティーを頼むより、こっちのほうが「春水堂を体験している」感じが強い。
内用は別途 10% のサービス料がかかります。
3. 黄金煉乳饅頭——お茶と合わせる甘い一品
これは食事と一緒に頼む、または食後のデザートとして頼む一品。黄金煉乳饅頭は揚げ饅頭に練乳をつけて食べる甘いメニューです。
形は中華風の小さい揚げパンで、外はカリッ、中はふわっ。これを練乳に浸して食べる。シンプルな組み合わせですが、これがちゃんと美味しい。
なぜこれが好きかと言うと——
- 単純に美味しい
- 他のチェーン店ではあまり見かけない、春水堂らしいメニュー
- お茶(特に半発酵茶や紅茶系)との相性が抜群
タピオカミルクティーで甘いものを取るより、私はこっちのほうが好き。なぜなら、タピオカは飲み物で完結してしまうけれど、煉乳饅頭はお茶と組み合わせて初めて完成する。お茶を主役にしたい春水堂らしい食べ方だと思います。
4. 招牌豆乾(豆乾と米血糕の盛り合わせ)
最後はもっと地味な、でも在住者がよく頼む一品。烏龍豆乾米血——お茶で煮込んだ豆腐の干物と、もち米と豚の血で作った「米血糕」の盛り合わせ。
「豚の血」と聞いて引いた方、もう少し聞いてください。
米血糕は台湾の伝統的な軽食で、もち米を豚の血で固めて蒸したもの。食感はモチモチ、味は思ったよりさっぱりしていて、お茶で煮込まれているので茶葉の香りが移っている。豆乾(豆腐の干物)も同じくお茶と醤油で煮込まれていて、噛むとじゅわっと味が出てくる。
これは台湾人が「お茶を飲みながらつまむもの」として定番の組み合わせで、まさに茶館らしい一品。タピオカミルクティーよりずっと「春水堂らしい」食べ物だと、個人的には思います。
一人で行く時の私の組み合わせ
私が一人で春水堂に行く時の典型的な注文パターン:
- 御品牛肉麺
- 烏龍豆乾米血
- アイス鉄観音か凍頂烏龍茶(タピオカ抜き)
- 黄金煉乳饅頭
これにサービス料 10% が加わります。決して安くはないですが、台湾旅行で「ちゃんと座って美味しいものを食べた」という満足感のある食事になります。最新の価格は店頭メニューでご確認ください。
このノートで触れないこと
念のため、書いておくと——
飲み物については今回ほぼ触れていません。タピオカミルクティー以外のお茶については、別途書く予定です。
鼎泰豊との牛肉麺対決については、あくまで個人の好みです。鼎泰豊の牛肉麺が美味しくないと言っているわけじゃありません。方向性が違う、と書いた通りです。
支店ごとの違いも確かにあります。台北の一部支店ではメニューが少し違ったり、限定品の有無に差があったりします。大きな差ではないですが、確実に同じものを食べたい場合は事前に分店に確認するのが安全です。
結論
春水堂に行ってタピオカミルクティーを頼むのは、もちろん正解です。
でも、もし「もう一歩、地元の人っぽく」春水堂を楽しみたいなら——牛肉麺。功夫麺と辣醬。煉乳饅頭。豆乾と米血。
タピオカは入り口、と前回書きました。
その奥には、ちゃんとした食事処としての春水堂が、待っています。
by ゆきひめ(台湾在住・グルメ手帖)