麻辣鍋、もう一つの選択——王品集団の「青花驕」、迷ったら套餐で

2026-06-23 · 台湾グルメ

台湾の麻辣鍋の話を書くと、たいてい鼎王のことから書き始めるのですが、もう一つ、日本の方に勧めやすい店があります——「青花驕(チンホアジャオ)」。

これは王品(ワンピン)集団という、台湾でいちばん大きいレストラングループが手がけている麻辣鍋のブランドです。王品集団は西餐、和食、台式、中華、火鍋——あらゆるジャンルで複数のブランドを持っていて、台湾でレストランに行くと、知らないうちに王品系のお店に入っていることがよくあります。

その王品が「麻辣鍋を本気でやろう」と立ち上げたのが青花驕。日本で言うとちょっとイメージしづらいのですが、ホテルレストランチェーンが運営する本格中華系麻辣鍋、みたいな立ち位置です。

青花驕の特徴——青花椒を主役にした、麻と油の紅鍋

ブランド名の「青花驕」は、九葉青花椒——中国の四大花椒の一つに数えられる、香りの強い青花椒——から取られています。

スープは赤い、いわゆる紅鍋です。ただし、辛さよりも「麻(マー=しびれ)」と「油の香り」のほうが前に出るタイプの麻辣鍋。鼎王のように果香のあるまろやかさを目指す方向ではなく、花椒の香りと油のコクで押してくる、本格中華寄りの味付けです。

「麻辣鍋は辣(ラー=辛さ)と麻(マー=しびれ)の二軸でできている」とよく言われますが、青花驕は明らかに麻の軸に振った設計。花椒の香りが好きな人は、これがいちばん刺さる店だと思います。

王品集団系のサービス——食事中の小さい配慮

王品系のお店に共通する特徴を一つ挙げておくと、サービスの細やかさ

入店すると、まずバッグや上着に布カバーをかけてくれます。麻辣鍋を食べると、煙やスープの匂いが服や荷物につきがちですが、これを防ぐためのもの。座席に着くと、希望すればエプロン(圍兜兜)も貸してくれます。

「食事のあと、服やバッグに匂いが残るのが心配」——日本の方によく聞かれる悩みですが、青花驕は最初からその心配を消しにかかってくれる店です。スーツで仕事のあとに寄りたい、デートや女子会で来たい、というシーンに向いています。

迷ったら「雙人套餐」——選択肢の多すぎる台湾火鍋メニューへの解

ここからが、このノートで本当に伝えたかった話です。

台湾の火鍋店のメニューって、異常に項目が多いんです。鍋底、肉、魚介、野菜、練り物、〆の麺類、デザート、ドリンク——どれを何皿頼めばちょうどいいのか、初めての人にはまず判断できません。

しかも肉だけで 10 種類、海鮮で 8 種類、野菜は季節物だけで 5 種類……というふうに、項目が縦に長く並んでいるので、メニューを開いた瞬間に「うっ」となります。

青花驕の「雙人套餐(双人セット)」は、ここを完全に解決してくれます。

セットの内容は——

  • 鍋底(1 種類または鴛鴦で 2 種類選べる)
  • 肉のセレクション(牛肉と豬肉、両方入る構成が多い)
  • 海鮮セレクション(エビや手作りの魚すり身など)
  • 彩蔬寶盒(季節野菜のアソートボックス)
  • 練り物の盛り合わせ(青花椒風味の肉団子など、店オリジナル品)
  • 澱粉の〆(揚げパンか春雨を選択)
  • ドリンクとデザート

つまり、メニューを開かなくても、注文の最適解がすでに用意されている——これが雙人套餐の真価です。

私が日本の友人を青花驕に連れていくとき、メニューを開く前に「雙人套餐を頼んでみない?」と切り出します。これで、2 人なら 30 秒で注文が終わります。

3〜4 人なら、雙人套餐を 2 セット頼むよりも、四人套餐や青花宴(青花驕の宴会セット)を選んだほうがバランスがよくなります。人数に合わせてセット名は変わりますが、考え方は同じ——「迷ったら套餐」

鍋底をもう少しだけ深く

セットを頼むときに一つだけ判断が必要なのが、鍋底の選択です。

招牌青花椒麻辣鍋:青花驕の看板。麻と油がはっきり立つ、本格的な紅鍋。麻辣鍋を「ちゃんと食べた」と言える満足感がいちばん大きいのはこれ。

酸菜白肉鍋:東北発祥の、天然発酵させた白菜の酸っぱいスープ。辛さゼロ。発酵による旨味とさっぱり感で、肉と野菜の本来の味が引き立つタイプ。

迷ったら、鴛鴦鍋(おしどり鍋)にして両方頼むのがおすすめです。麻辣鍋を頼んでみて「やっぱり辛すぎた」となっても、酸菜白肉のほうに逃げ込めるので、麻辣鍋初挑戦の人にも安心。私自身、誰と来ても結局この組み合わせを頼んでいます。

もう一つの利点——予約可能

最後にもう一つ、青花驕の現実的な利点を。

予約ができます

台湾の人気麻辣鍋店の多くは予約不可で、現場で 1 時間以上並ぶこともざらですが、青花驕は電話または線上で予約可能。観光のスケジュールに組み込みやすい——これは旅行者にとって地味に大きいポイントです。

📍 店舗情報

青花驕は王品集団傘下なので、台北を中心に複数店舗あります。観光で立ち寄りやすい主な店舗:

  • 中山北店(旗艦店):MRT 中山駅近く、独棟の旗艦店舗。雰囲気重視ならここ
  • その他:信義區、内湖、新北の主要エリアに展開

予約は公式サイトから。
最新の店舗一覧・営業時間もこちらで確認できます。

このノートで触れないこと

  • どの肉のグレードを頼むか:套餐に最初から入っているもので、まず十分です。物足りなければ単品で追加できます
  • 辛さの限界の話:青花驕は麻が主体なので、「辛さに弱い」より「花椒のしびれに慣れていない」ほうが影響大きいです。心配なら鴛鴦鍋へ

おわりに

「麻辣鍋=鼎王」というイメージは確かに正しいのですが、台湾の麻辣鍋にはもう一つの系統があります——王品集団が手がける、ホテルレストラン寄りの青花驕です。

メニューに迷ったら雙人套餐を頼む、というのは、青花驕に限らず台湾の火鍋全般に通じる在地の知恵です。日本の方が台湾の火鍋を 1 回で楽しもうとして失敗するパターンの大半は、「単品で頼みすぎて種類が足りない、または量が多すぎる」のどちらか。套餐はそれを最初から解決してくれます。

ちょっとフォーマルに、ちょっと丁寧に、麻辣鍋を楽しみたい日——青花驕は、そういう日に行く店です。


ゆきひめ(台湾在住・グルメ手帖)

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