かつおだしの鍋「砂鍋什錦」を地元価格で囲む町食堂「北平楊順順小館」

2026-07-03 · 台北グルメ

台北で「中華を食べた」と言うとき、日本人観光客の頭にあるのはたいてい小籠包です。もちろん間違いではありません。ただ、台北の中華はもっと広い。

中山区の合江街に、「北平(ペイピン)」を店名に掲げた食堂があります。北平は北京の古い呼び名。1949 年前後に中国各地から台湾へ渡ってきた人たちが持ち込んだ料理——台湾で「外省菜」と呼ばれるジャンル——が、こういう町の食堂に今も根を張っています。

「北平楊順順小館(ヤンシュンシュン・シャオグァン)」は、その生き残りのような店です。

店の前が麺点厨房

店構えは飾り気ゼロ。赤い昔ながらの看板、店の入口側では蒸餃や餡餅を作る麺点(麺類・粉もの)の厨房が動いていて、奥が客席と熱炒の厨房という配置です。

メニューは北方の粉もの——蒸餃、牛肉餡餅、木須炒餅、合菜戴帽(野菜と卵の炒め物をクレープ状の餅で包む北方の定番)——に加えて、宮保雞丁や蔥爆牛肉のような台湾でおなじみの熱炒も並びます。純粋な北京料理というより、台湾で数十年かけて土着化した「北方系の町食堂」と呼ぶのが正確だと思います。

そして価格。炒め物の多くが NT$100〜200 前後、餡餅は一枚数十元、サービス料なし。台北の中心部でこの水準は、正直かなり貴重です。

店内は狭く、席数も多くありません。それでも平価でおいしいから、地元客が途切れない——食事どきは予約なしでは入れないことも珍しくない、そういうタイプの店です。

私のおすすめは「砂鍋什錦」

この店で私が推すのは砂鍋什錦(シャーグォ・シージン)。土鍋仕立ての台湾式寄せ鍋です。

まず、だしに注目してください。ベースは台湾式のかつおだし(柴魚湯頭)。台湾では日本統治時代から続くかつお節の食文化があって、この鍋のスープも、日本人ならひと口で「あ、知ってる味だ」となるはずです。異国の食堂で出会う、どこか懐かしいだしの香り。

具は野菜、白エビ、豚肉のスライス、豆腐、肉団子、寬粉(幅広の春雨)など。土鍋いっぱいのボリュームなので、4 人以上で囲むのがちょうどいいサイズです。鍋類は事前の電話予約が確実です。

単品は「白飯のための料理」を

鍋と一緒に頼みたい単品のおすすめは三つ。

  • 豆干肉絲(ドウガン・ロウスー)——豆腐を固くプレスした「豆干」の細切りと豚肉の細切りの炒め物。淡白なのに噛むほど大豆の香ばしさが出る、台湾の食堂の定番。
  • 椒鹽排骨(ジャオイエン・パイグー)——揚げたスペアリブに塩と胡椒、揚げニンニクを絡めた一皿。外はカリッと、香りで白飯が進みます。
  • 炒時蔬(チャオ・シースー)——その日の季節野菜の炒め物。メニューに固定名がないタイプの注文で、「今日の野菜」を強火でさっと。鍋と揚げ物の間の箸休めに必須です。

三つとも共通するのは「白いご飯のための料理」だということ。台湾の食堂ではご飯は単品注文制なので、人数分の白飯を忘れずに。

在地人の食べ方

  • 食事どきは予約が前提。 店内が狭いぶん、昼も夜もピーク時間は満席になりがちで、予約なしでは入れないことがよくあります。鍋を狙うなら、席と一緒に鍋も予約しておくのが確実です。
  • 白飯は単品注文制。 豆干肉絲も椒鹽排骨も、白飯あってこその料理です。

一人で単品と白飯だけ、という使い方もできるし、大人数で鍋を囲むこともできる。この振り幅の広さが町食堂の強さです。

📍 店舗情報

このノートで紹介した料理は、すべて 北平楊順順小館 で頼める内容です。

北平楊順順小館(ペイピン・ヤンシュンシュン・シャオグァン)

  • 住所:台北市中山區合江街43號
  • 最寄駅:MRT 中山國中駅から徒歩 5 分前後(南京復興駅からも徒歩圏)
  • 営業時間:11:00〜14:00/17:00〜21:00(夜の部の開始は 17:30 との情報もあり)
  • 定休日:水曜
  • 電話:02-2509-9032
  • サービス料:不要
  • 支払い:現金
  • 予約:電話(鍋類・大人数は予約推奨)

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ゆきひめ(台湾在住・グルメ手帖)

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